- 自覚症状がでにくいため、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」といわれる
- 生活習慣を見直すことで予防が可能
- 進行すると改善がむずかしくなるため、早期に対策することが重要
不規則な生活、バランスの悪い食事、運動不足や喫煙など、生活習慣が起因となり発症、悪化する病気を生活習慣病といいます。
最初はほとんど自覚症状がないため、放置してしまう人が少なくありません。気が付くといつの間にか動脈硬化が進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる病気を発症するなど、甘くみているととても怖い病気なのです。
また、生活習慣が一因であるため、重複してかかることが多いという特徴があります。重複すると、重大な合併症のリスクも倍々で増えてしまいます。
しかし、多くは予防することができます。まずは早い段階で生活習慣を見直し、発症・悪化を未然に防ぐことが重要です。治療が必要な場合は、目標値をたて、患者さんひとりひとりに合わせた治療を提供いたします。
糖尿病
体のエネルギー源である血液中のブドウ糖は、普段は一定の濃度に保たれています。そのコントロールを行うインスリンの働きが弱くなったり、量が不足することが原因で、血液中の糖分が異常に高くなる状態が糖尿病です。
平成29年の国民健康調査では、「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)」と「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」合わせると約2000万人、実に国民の5人に1人が該当するほど悩んでいる方の多い病気です。
糖尿病には、免疫異常によって膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンが分泌しなくなる1型糖尿病、遺伝的素因や加齢、生活習慣が原因で、インスリンの分泌不全や働きが悪くなる2型糖尿病などがあります。日本人の95%は、この2型糖尿病です。
糖尿病で怖いのは合併症で、「腎症」「網膜症」「神経障害」があり、いずれも日常生活におおきな支障をきたします。また、糖尿病があると、脳梗塞や心筋梗塞の発症率が3倍に増えるといわれており、糖尿病を指摘された場合は、早期に血糖コントロールすることが重要です。
高血圧
収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上の状態を高血圧といいます。
血圧が高い状態がつづくと血管に負担がかかるため、血管が傷ついたり、動脈硬化がすすみます。動脈硬化をきたすと血流がわるくなるため、その結果、狭心症や心筋梗塞といった重篤な結果をもたらすのです。
両親そろって高血圧の場合、その子が高血圧になる確率は約50%、片親だけが高血圧の場合約30%前後、というデータがあるように遺伝性があります。ただ、生活習慣や環境因子を減らすことができれば、高血圧発症のリスクは軽減します。
高血圧を指摘されたら、まずは、食事の減塩といった生活習慣の見直しですが、年齢や基礎疾患の有無により治療目標値は異なるので、一度外来にてご相談ください。
脂質異常症
悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪が過剰な状態を、脂質異常症(高脂血症)といいます。
悪玉コレステロールが増えすぎると、血管の内側に脂肪のかたまり(プラーク)がこびりつき、血流を悪くします。このプラークが大きくなると血栓となって、血管のつまりや破裂をきたし、脳卒中や大動脈解離を引き起こします。
治療の基本は、生活習慣改善と運動療法です。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を、毎日30分以上つづけられると理想的です。それでも思うように数値が下がらない場合は、薬物療法を検討します。
危険因子を多く持つ方や、遺伝要因による家族性高コレステロール血症と診断された方は、動脈硬化の進行するリスクが高まりますので、早い段階で薬物療法を始める場合もあります。