スギ花粉症は全国民の4人に1人、ハウスダストやダニも含めたアレルギー性鼻炎全体では、実に10人中4人が罹患しています。
花粉症・アレルギー性鼻炎の3大症状は、鼻水、くしゃみ、鼻づまりです。目の充血・かゆみ(アレルギー性結膜炎)、皮膚や口腔内のかゆみ、長引く咳、睡眠障害、倦怠感など様々な症状をともなうことがあります。
このような症状でお悩みの患者さんの数は近年ますます増加しており、いまや「国民病」とも言われています。そのため当院は、花粉症・アレルギー性鼻炎の治療に力をいれています。
治療薬には、内服薬、点眼薬、点鼻薬など様々な剤型のものがあります。鼻水・くしゃみ型と鼻づまり型では、効果の期待できる薬剤が異なりますので、様々な種類の薬剤を組み合わせて治療を行います。
(花粉症・アレルギー性鼻炎の予防は、舌下免疫療法をお勧めします。小学生以上であれば治療可能です。舌下免疫療法をご参照ください)
下記に、当院で扱う治療薬の一部をご紹介します。薬剤の一部は、先発薬品名(一般名)で表記しています。
内服薬 第2世代抗ヒスタミン薬
治療の中心になる薬剤です。即効性で、鼻水・くしゃみに有効です。
- 市販もされている薬:副作用が少なく、安定的な効果があります = アレグラ(フェキソフェナジン)、アレジオン(エピナスチン)、クラリチン(ロラタジン)
- 妊婦さんでも安心して内服できる = ザイザル、ジルテック(セチリジン)、クラリチン
- 注意書きに「運転不可」記載がありません。つまり眠くなりにくい = ビラノア、アレグラ、ディレグラ、クラリチン
- 即効性がある = タリオン(ベポタスチンベシル)、ルパフィン
- 持続性の効果が期待できる = エバステル(エバスチン)
- 比較的つよい効果があり、鼻づまりにも有効 = アレロック(オロパタジン)
- アレグラに鼻づまりによく効く成分を配合した、眠くなりにくい = ディレグラ
これらの内服薬にはある程度の強弱がありますが、その効果には個人差があります。強いといわれる薬剤が効かず、比較的弱いとされる薬剤がよく効くかた方もいます。2週間程度使用し、効果を確認しながら調整することをお勧めします。
内服薬 ロイコトリエン拮抗薬
ロイコトリエンは、血管を拡張、鼻粘膜を腫脹させることで鼻づまりを起こす化学伝達物質です。この作用を抑制することで、抗ヒスタミン薬以上の鼻づまり改善効果が期待できます。また、喘息の基本治療薬でもあります。効果発現に数日必要なので、早めに内服する必要があります
キプレス(モンテルカスト)、オノン(プランルカスト)
内服薬 Th2サイトカイン阻害薬
アレルギーを引き起こす数種類のサイトカインを抑制することで、症状を改善します。鼻づまり改善効果があります。
アイピーディ(スプラタストトシル)
内服薬 漢方薬
色々な薬がありますが、代表は小青竜湯です。体を温め、水分バランスを整えることで余分な水分を体外に排泄するため、つらい鼻水に効果的です。即効性がありますが、早めの内服が最も有効です。眠くなりにくい薬です。
点鼻薬
花粉症の症状が軽い方ですと、点鼻薬だけで鼻の症状のみならず、目のかゆみまで改善する方もいらっしゃいます。
液体スプレータイプで、1回噴霧するだけで1日中効果がつづくナゾネックス点鼻薬、アラミスト点鼻薬。症状がひどいときに、その都度効かせたい方には、1日2~4回噴霧できる点鼻薬もあります。
「液だれが苦手」な方には、粉末スプレータイプがおすすめです。非常に細かい粉なので、噴霧しても空気が入っている感覚しかないため、違和感がほとんどありません。また薬剤が鼻粘液と癒合し、花粉をブロックする作用があります。1日1回噴霧するだけのエリザス点鼻薬。5歳以上から使用できるリノコートパウダースプレー点鼻薬などがあります。
点眼薬
目薬にも、さまざまなタイプの薬剤があります。代表的な薬剤が、目にしみず、バランスの良い効果があるパタノール点眼液。
コンタクトをつけている方が安心して使用できるのが、防腐剤の入っていないアレジオン点眼薬。ただし、ワンデイタイプのコンタクトであれば、どの点眼薬を使用しても問題ありません。
その他、症状が非常に強い方の場合、一時的にステロイドの内服薬を使用することもあります。
各々の症状に合わせて、適切な組み合わせで使用することが大事です。また花粉飛散の少し前から治療するとより効果的です。
いままで使用した薬剤の効果、眠気の有無などがわかるとより調整しやすくなりますので、来院時はお薬手帳を忘れずにご持参ください。その他、一日の使用回数の希望、運転の有無等受診時にお話しくださいますよう、よろしくお願いいたします。